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《2610》「国民年金第3号被保険者制度」見直し検討会が始動

厚生労働省は2026年9月4日、国民年金第3号被保険者制度の見直しを議論する検討会の初会合を開催しました。制度の背景と課題、今後の改正の方向性を整理します。

はじめに

厚生労働省は2026年9月4日、「国民年金第3号被保険者制度等に関する検討会」の第1回会合を開催しました。労働組合・経済団体の代表や研究者など16名で構成されます。

第3号被保険者の実態調査を行い「令和8年度中にその結果をとりまとめ、課題の整理を行う」とした、自由民主党・日本維新の会の「社会保障改革項目に関する具体的な骨子」(2026年7月7日)を受けたものです。第3号被保険者数は平成7年度の1,220万人をピークに、令和6年度末には641万人まで減少しています。制度そのものの見直しは、課題の整理を経て、その先の年金制度改正で議論される見込みです。

第3号被保険者制度とは

1985年(昭和60年)の年金大改正で創設された制度です。それ以前、被用者に扶養される配偶者の国民年金加入は任意であり、未加入のまま離婚すると無年金になる問題がありました。

これを解消するため、20歳以上60歳未満の配偶者を強制加入とし、保険料を個別に負担せずに基礎年金を受けられる仕組みにしました。保険料は本人ではなく、厚生年金制度全体で負担します。

 

何が問題とされているのか

共働き世帯が主流となった現在、主に次の4点が指摘されています。

1.保険料負担の不公平性

自営業者の配偶者(第1号被保険者)は自ら保険料を払わなければ年金を受け取れませんが、第3号被保険者は保険料負担なしに基礎年金を受け取れます。

 

2.片働き世帯と共働き世帯の間の負担の逆進性

世帯収入が同じでも、共働き世帯は夫婦2人分の保険料を負担するのに対し、片働き世帯は一人分の負担で済みます。

 

3.「年収の壁」による就業調整

収入要件を意識した働き控えが、女性のキャリア形成を妨げ、人手不足の中で労働力の有効活用を阻害しているとの指摘があります。

 

4.保険料負担者の不合理

単身や共働きの会社員が、第3号被保険者の基礎年金分を実質的に負担している点も、納得感の乏しさにつながっています。

 

法改正の方向性と今後の予測

政府・与党はすでに第3号被保険者制度の「縮小に向け」、被用者保険の適用拡大を早期に進める方針を示しています。実際の縮小は、社会保険の適用拡大という形で先行しており、2035年10月の企業規模要件の撤廃に向けて、パートが社会保険の加入対象となる企業の範囲が段階的に広がっています。2035年10月以降、週20時間以上働く短時間労働者は、企業規模を問わず厚生年金・健康保険への加入が義務化されます。今後も、育児・介護期間中など就業が難しい層への配慮を残しつつ、対象者数を減らしていく展開が続くと見込まれます。

 

採用に与える変化

これまでパートタイム採用で多くみられた「扶養の範囲で働きたい」というニーズは、今後は実現しにくくなります。例えば最低賃金が1,500円になった場合、週17時間程度働くと年収130万円超となり、扶養(第3号)範囲から外れます。「扶養の範囲で」という層を採用ターゲットにするのは困難になるため、社会保険加入を前提として人件費を見積もっていく必要があるでしょう。

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