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《2512》新政権による労働時間規制緩和の内容について

高市内閣が組閣後早々に示した労働時間規制の見直し方針について、どのような検討がされているのか、現時点の情報を解説します。

はじめに

2025年10月、高市首相は厚生労働省および関連機関に対し、労働時間規制の見直しを検討するよう指示しました。

この指示は、現行の時間外労働(残業)上限や勤務時間制度が「柔軟な働き方」や「人材活用」の障壁になっているという認識を背景にしています。以下、この労働時間規制見直しについて現時点の情報を解説します。

検討の対象

現時点で、具体的には「残業上限規制」「裁量労働制・フレックスタイム制等の拡大」「働き手の選択を尊重する勤務時間制度の整備」などが検討対象と報じられています。ただし「緩和=無制限」というわけではなく、「心身の健康維持」と「労働者の選択」を前提として、過労・健康リスクに配慮しながらの慎重な議論が求められています。

主な論点

以下に、労働時間法制の規制緩和にあたって、現在議論されている主な論点を整理します。

  1. 残業時間の上限規制の再検討

現行制度では、働き方改革関連法により、原則として時間外労働の上限は月45時間・年360時間と定められており、特別条項付きの場合でも月100時間未満・複数月平均80時間以内などの基準が設けられています。

規制緩和の方向では、このような上限を柔軟化する、あるいは選択制を設けるといった検討が始まっています。例えば、働きたい人がもっと働けるようにという観点から、勤務時間の上限を引き上げたり、残業を含めた勤務スケジュールの選択肢を増やしたりする案です。

  1. フレックスタイム・裁量労働・高度プロフェッショナル制度の拡大

時間に縛られない働き方を実現するため、フレックスタイム制や裁量労働(企画・管理型)・高度プロフェッショナル制度(高プロ)などの活用拡大も検討されています。制度設計によっては、労働時間の管理手法を変えることで、「働く時間を本人が選べる」方向性が示されています。 また、報道では「年収要件」「専門性要件」などの要件緩和の可能性なども指摘されています。

  1. 副業・兼業・収入確保との関連性

高市政権では少子化・人手不足対策の一環として、働き手の収入確保やキャリアの多様化を意識しています。報道では、「残業代が減ったために慣れない副業を余儀なくされ、健康を損ねる可能性がある」といった観点から、労働時間規制の硬直性を見直す必要性が語られています。 こうした背景から、柔軟な労働時間制度を通じて、収入・働き方の選択肢を広げるという政策意図がうかがえます。

  1. 健康確保・過重労働防止とのバランス

議論のなかでも特に重要なのが、「緩和=長時間労働の容認」ではないという前提です。高市首相指示の文言にも「心身の健康維持」というキーワードが明記されています。専門家・労組側からは、これまでの過労死・過重労働是正の流れを逆行させる懸念も示されており、制度としては「自由な選択」と「健康・安全の確保」という二つを両立させる設計が求められています。

制度設計・運用実効性

制度が形だけの「緩和」にならないよう、実務運用面での整備が重要でしょう。例えば、残業上限引き上げや高度プロフェッショナル制度の「選択制」の導入時には、本人の同意の「自発性」や「選択撤回の権利」の確保をどのように組み込むかが重要になるでしょう。

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