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《1909》「雇入時の健康診断」と「定期健康診断」の関係

労働安全衛生法で実施義務のある「雇入時の健康診断」について、定期健康診断と混同しがちです。それぞれの健康診断の実施時期、並びに検査項目について解説します。

はじめに

「1年に1回は健康診断を実施しなければならない=定期健康診断」については認知されている一方で、「雇入時の健康診断」についてはその実施時期や内容について正しく知られていないケースがあります。以下、雇入時の健康診断と定期健康診断の関係や違い、注意点について解説します。

雇入れ時の健康診断

【1.検査項目】

雇入時の健康診断で行うべき検査項目は以下の通りです。

(1) 既往歴及び業務歴の調査
(2) 自覚症状及び他覚症状の有無の検査
(3) 身長★、体重、腹囲★、視力及び聴力の検査
(4) 胸部エックス線検査★
(5) 血圧の測定
(6)貧血検査★(血色素量及び赤血球数)
(7) 肝機能検査★(GOT、GPT、γ―GTP)
(8) 血中脂質検査★(LDLコレステロール、
HDLコレステロール、血清トリグリセライド)
(9) 血糖検査★
(10) 尿検査(尿中の糖及び蛋白の有無の検査)
(11) 心電図検査★

医師の判断により一部の項目(表中の★の項目及び喀痰検査)を省略できる定期健康診断と違い、雇入時にはすべての項目について健康診断を行う必要があります。

 

【2.入社前実施】

雇い入れられた従業員が、医師による健康診断の結果(3ヶ月以内に実施したのもの)を提出した場合、雇入時の健康診断に相当する項目については省略することができます。そのため、入社前に内定者に対して対象項目を満たす健康診断の受診を求め、その結果を提出してもらうことで雇入時の健康診断とすることができます。

なお、その際の費用負担について法律上具体的な定めがないこともあり、従業員の負担とするケースも見られますが、本来の法律の趣旨から考えると企業負担とすることが望ましいでしょう。

 

【3.実施時期】

雇入時の健康診断の実施時期については、雇入時の直前又は直後とされていますが、具体的な期限までは法律上明確にされていません。しかしながら、従業員が雇入れ前3ヶ月以内に受けた健康診断の結果を提出する場合は、雇入れ時の健康診断に相当する項目については省略できることや、雇い入れ時の健康診断の目的が、従業員の配置決定や入社後の健康管理にあることを考慮すると、雇入れの前後3ヶ月以内の実施が望ましいでしょう。

定期健康診断で代用できるか

定期健康診断の実施時期がたまたま雇い入れの直前又は直後であったとしても、定期健康診断の項目が省略されている場合は、雇入時の健康診断を実施したことにはなりません。言い換えれば、省略なく実施されれば代用することができます。企業ですでに行われている定期健康診断のルーティンの中で雇入時健康診断を実施しようとする場合は、健康診断項目について注意しましょう。

なお、逆に雇入時の健康診断を実施した場合、実施後1年間は定期健康診断を省略することができます。

法律で定める健康診断を実施しない場合、労働基準監督署の臨検調査で是正勧告を受けるほか、悪質とみなされた場合50万円以下の罰金となることがあります。従業員の健康について配慮することは採用面でも重要になるため、未整備の場合は順次対応していきましょう。

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