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《2603》出社回帰をめぐる労働条件の変更とそのリスク対策について

新型コロナウイルス感染拡大により急速に普及したテレワークですが、近年出社回帰の動きが進んでいます。出社に移行する際の注意点を整理します。

はじめに

新型コロナウイルス感染症の拡大を契機に急速に普及したテレワークですが、ここにきて一部の大企業を中心に「出社回帰」の動きが進んでいます。生産性向上、組織統制、若手育成などを理由に、テレワークを縮小・廃止する判断をする企業も増えています。

しかし、テレワークの見直しは、単なる方針変更にとどまらないリスクを内包しています。特に、労働条件変更との関係を誤ると、労働紛争に発展するおそれがあります。

テレワークは労働条件なのか

テレワークが労働条件に該当するかどうかは、その導入経緯や制度設計によって判断が分かれます。厚生労働省のテレワークガイドラインでも、テレワークは「働き方の一つ」とされており、就業規則や労働契約に明示されている場合には労働条件の一部と評価される可能性があります。

特に注意が必要なのは、以下のパターンです。

このような場合、出社回帰は「労働条件の変更」として扱われ、企業側の一方的な変更は問題となりえます。

 

出社回帰をめぐる法的リスク

配置転換命令について、近年「勤務地」や「労務提供の場所」の変更は、労働者に与える影響が大きいとして慎重に判断される傾向があります。たとえば、勤務地変更に関する判例では、以下のポイントを総合的に考慮するべきとの枠組みが確立しています。

テレワークから出社への切替えも、実質的には「労務提供場所の変更」と評価される可能性があります。特に育児・介護などを理由に在宅勤務を前提とした生活設計をしていた労働者に対しては、不利益性が大きいと判断されやすい点に注意が必要です。

出社回帰を進める際の実務ポイント

1.テレワーク制度の定義の明確化

就業規則・テレワーク規程の新設や見直しの際には、テレワークは恒久制度ではない旨を明文化する必要があります。業務上の必要性により出社を命じる場合がある旨を明記します。併せて、テレワークの弊害や出社の有用性を労働者に説明する姿勢も大切です。

 

2.段階的な移行と個別配慮

突然全面出社とせず、週1〜2日出社から始めるなど、緩やかな移行は紛争予防に有効です。

さらに、個別配慮の検討も欠かせません。育児・介護・通院等の事情がある労働者については、例外的な在宅勤務や時差出勤を組み合わせることにより、不利益を緩和できます。

 

3.効果検証

出社回帰の結果、各方面にどのような影響があったかを検証します。時間あたりの生産性、採用・定着率、離職率、労働時間数、コスト増減などの変化を確認し、今後の労働環境整備に役立てることが重要です。

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