ガイドライン策定も検討されている「つながらない権利」について、企業がどのような制度をつくれば実務的になるかについて考察します。

はじめに
チャットツールやスマートフォンの普及により、「勤務時間外でも業務連絡が見えてしまう」環境が当たり前になりました。便利さの反面、私生活でも業務から完全に解放されないためメンタル不調や、潜在的な時間外労働(不払い残業)の発生等が問題視されています。以下、近年ガイドライン策定も検討されている「つながらない権利」について、どのように実務的な制度をつくれば機能するか考察します。なお、現時点で「つながらない権利」は日本の法律上明文化されていませんが、厚生労働省でガイドライン策定が検討されており、今後の動向を見据えた対応が求められます。
全社的なルールの公表
まず、就業規則・社内規程・イントラ等で、勤務時間外の連絡の扱いを明文化し、全社に周知するとよいでしょう。ここで重要なのは、禁止・例外・代替手段をセットで示す点です。

曖昧さが残ると、現場は結局「念のため反応する」に流れます。例外を絞り、判断権限(誰が緊急事案と決めるか)を決めることで、運用が安定するでしょう。
チャットツールの表示名設定
実務的に効くのが、表示ルールです。たとえば、氏名の後ろに対応可能時間表記を推奨する方法です。

チャットツールの中には離席中、集中時間、退勤などの状態を示せるものもあります。特にリモート環境では、視覚的に現在の状態をわかりやすくするのが効果的でしょう。
評価・人事との切り離し
制度化で最も大事なのは、勤務時間外に反応しなくても直接的・間接的を問わず不利益にしないことです。実際「つながらない権利」の議論では、評価に影響するかもしれないという心理的圧力の取り扱いが鍵となります。社内ルールとして、以下のように発表し実行力を高める方法があります。

対外的な説明
社内のルール以外に、対外的な説明も必要です。「当社は従業員の休息確保のため、原則として営業時間外の個別対応は翌営業日とします」「緊急時は24時間窓口(当番)へ。通常連絡はチャット/メールで受付します」などのルール説明をクライアントにするとよいでしょう。
時間外対応の実態調査と検証
営業時間外の対応事案を記録し、定期的に次のような内容を調査し、検証、評価も重要でしょう。

社内のルール作りでなく、総じて「社員のプライベートを守る」意識で、つながらない権利を実現しましょう。