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《2505》フジテレビ問題の第三者委員会報告から学ぶハラスメント

フジテレビ問題の第三者委員会報告を題材として、中小企業における今後のハラスメント対策のポイントについてご説明いたします。

はじめに

3月末に、元タレント中居氏の事件に関する第三者委員会の調査報告書が公表されました。同委員会は、本事案が中居氏による性暴力であると認定し、同時に本事案をプライベートの問題とせず、「フジテレビの業務の延長線上に起きたもの」であるとの見解を示しました。

以下、この事件を題材として、中小企業における今後のハラスメント対策のポイントについてご説明いたします。

指摘された企業の問題点

今回の調査報告書では、フジテレビの社員による以下の行動が特に問題とされました。

上記①は、中居氏の事件とは別の類似事案において「大勢での会合を装いながら、実際には特定の人物を残して二人きりにさせようと画策したフジテレビ社員の行動」を指します。また、②については、中居氏の事件を含め、フジテレビの社員による会食の企画自体に断りにくい心理的圧力があったことを指しています。これは女性アナウンサー等が自由意思によって会合に参加する体裁を取りながらも、実際には断りづらい状況が作られていたということです。

これらの言動は、セクシュアルハラスメントまたはパワーハラスメントに該当するおそれがあります。委員会は、こうした行動が単発の問題に留まらず、企業文化全体における倫理観やコンプライアンス体制の脆弱性を象徴するものとして、企業が根本的な改革を行う必要性を強調しました。

企業ガバナンス機能不全

また、今回の事件を通じて明らかになったのは、会社の内部統制やリスク管理体制が十分に機能していなかった点、さらには管理職層を中心に、コンプライアンスに対する意識が低く、倫理観が欠如していた点です。

これは、被害女性からの訴えがあったにも関わらず、本事案を「プライベートな男女間のトラブル」と即断し、その後の対応を誤ったことを指しています。

事件後も中居氏の出演番組を継続する等、この事件が人権問題だと認識していなかった点を問題視しています。

中小企業におけるハラスメント対策

中小企業は、同族による経営や、いわゆるワンマン経営が珍しくなく、このようなハラスメントに対して閉鎖的で身内に有利な判断をしてしまう可能性があります。

公平性と客観性を確保するために、以下のような対策が検討できるでしょう。

  • ハラスメントに関するアセスメントの実施(弁護士その他第三者機関によるハラスメント実態調査を定期的に行う)
  • 職場の録画・録音

また、ハラスメント問題を起こさせない組織づくりのために以下のような施策も検討に値します。

  • 内部通報制度の導入(匿名性を確保した内部通報制度を整備し、従業員が、不適切な行動を安心して報告できる環境を作る)
  • 管理者研修の実施(管理職向けに、コンプライアンスやハラスメント防止に関する研修を定期的に実施し、上司としての責任と倫理観を徹底させる)

参考

<厚労省:業種別カスタマーハラスメント対策企業マニュアル (スーパーマーケット業編)等を作成しました>

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_55395.html

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