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《2501》パート社会保険加入と「103万円の壁引き上げ」を紐解く加入拡大の今後

厚生労働省は、パートタイマーへの社会保険適用拡大に関連して、年収要件や企業規模要件を順次撤廃していく方針のようです。今後のパート社会保険適用の方向について解説します。

はじめに

パートタイマーの社会保険加入基準である「年収106万円以上」を厚生労働省が2026年に廃止する方向であると報道されました。また、パート社会保険適用拡大の企業規模要件についても撤廃の方向が示されています。パートの社会保険加入拡大の今後について解説します。

 

「年収106万円の壁」の撤廃

企業規模51人以上の適用事業所について、パートタイマー等が社会保険の対象となる要件として、以下のものがあります。

2番目の「月額8.8万円」を年収換算すると約106万円になることから、パートタイマーで社会保険に加入しなくて良い年収目安という意味で俗に「年収106万円の壁」と表現されています。

この年収要件は2026年10月に撤廃される見込みです。

 

企業規模要件の撤廃

前述したパートタイマー等への社会保険適用拡大は現在従業員規模50人以下の事業所に対して猶予されていますが、2027年10月にはこの企業規模要件を撤廃する方向で話し合われています。

つまり、すべての社会保険適用事業所について、週20時間以上働く従業員を社会保険に加入させなければならなくなります。

 

企業側の社会保険料「肩代わり」

現在所得税等について年収の壁の引き上げが議論されていますが、仮に税制面での壁が緩和されても、パートタイマー等が社会保険加入対象となれば、結局手取りは減少してしまいます。そのような批判をかわすためか、年収156万円未満の人に限り、社会保険料の本人負担の一部を企業の判断で肩代わりできる仕組みが検討されているようです。

報道によるとこの社会保険料肩代わりは強制的な措置ではなく、労使で任意に導入できるとされています。強制でなくとも、一部のパートタイマーのみ社会保険料を肩代わりするのは公平性の観点で納得を得られにくいかもしれません。

なお、この「年収156万円案」ですが、おそらく最低賃金の引き上げと関連しています。現在最低賃金を全国平均1,500円に引き上げる動きがありますが、年収156万円を1,500円で割ると年間1040時間=週あたり20時間の勤務に相当します。

前述した通り中小零細企業についてもパートタイマーへの社会保険適用拡大がなされる予定ですが、この適用拡大によって手取りが減少する中小企業パート層に向けた施策と思われます。

言い換えると、全国平均最低賃金が1,500円に引き上げられるまでの暫定措置として、パートタイマーの手取りが減らないように企業がケアできる仕組みを創設する意図でしょう。

そしてこの企業側の「社会保険料肩代わり」に対して新たな助成金が設けられることが予想できます。しかし、場当たり的にも見えるこの案は議論を呼びそうであるため、今後も注視していくべきでしょう。

 

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