労働移動に関する助成金で、政府がこれから力を入れて行くと思われるのが「産業雇用安定助成金(スキルアップ支援コース)」です。
<制度の概要>
産業雇用安定助成金は、新型コロナウイルス感染症の影響で事業活動の一時的な縮小を余儀なくされた事業主が、在籍型出向により労働者の雇用を維持する場合に、出向元・出向先の双方の事業主に対して助成を行うものです。
この助成金は本来、「新型コロナウィルス」の影響であることが受給の要件でした。
しかし、「在籍型出向」をさせることで、自社にはない実践での経験による新たなスキルの習得が期待できることから、要件の見直しを行い、「新型コロナウィルス」の影響でなくても活用できる新たなコースが創設されました。
すなわち、労働者のスキルアップを在籍型出向で行い、一定の条件を満たした場合には、出向元事業主に対しての助成金が支給されます。
これが「スキルアップ支援コース」です。
<スキルアップ支援コースの主な支給要件>
・労働者のスキルアップを目的とする在籍型出向であること
・出向した労働者は、出向期間修了後、元の事業所に戻って働くことが前提であること
・労働者の出向復帰後6か月間の各月の賃金を出向前賃金と比較していずれも5%以上上昇させること。
なお、雇用の維持を図ることを目的として在籍型出向を行う場合は「産業雇用安定助成金(雇用維持支援コース)」を活用することになります。
<助成の内容>
助成率:3分の2(中小企業の場合)
助成額:以下のいずれか低い額に助成率をかけた額
イ)出向労働者の出向中の賃金
ロ)出向労働者の出向前の賃金の1/2の額
上限額:8,355円/1人1日当たり
助成期間:最長1年まで
<具体的な計算例>
・出向元は中小企業
・出向前の賃金日額、出向中の賃金日額はいずれも 9,000円
・出向元賃金負担 3,600円、出向先賃金負担 5,400円
(出向元の賃金負担が4割)
・出向復帰後の賃金日額 9,450
・助成率:2/3
・助成額:2,400円(上限額である日額8,355円以下もクリア)
イ:3,600円
ロ:4,500円(9,000×1/2) となるため、低い額はイとなり、具体的な金額は 3,600円×2/3=2,400円
つまり、出向元が日額3,600円を負担して在籍型出向をさせると、助成金が日額2,400円支給されるので、実質負担は日額1,200円ということになります。
政府としては、在籍型出向を積極的に活用することで、労働者のスキルアップを図り、雇用の安定にもつなげたいという考えのようです。