今回は「人材育成(教育・研修)」、「労働移動」のための助成金についてお伝えをします。
「人材育成(教育・研修)」の助成金
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<人材開発支援助成金> 事業展開等リスキリング支援コース
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新設される予定の助成金です。
リスキングについては、最近ニュースなどでも多く取り上げられています。
新規事業など新たな事業展開をするにあたり、
社員に必要となる教育訓練(研修)を実施する企業を支援するものです。
主な要件は以下の通りとなります。
<対象事業主>
・人材開発支援助成金(一般訓練コース)に規定する要件の
一部を満たした事業主であること
・新たな事業の創出その他の事業の展開又は将来において
成長発展が期待される分野の業務にその雇用する被保険者を
従事させることに伴い、当該被保険者に必要な職業訓練等を
受講させる事業主であること
<対象労働者>
雇用保険法第4条に規定する被保険者
<助成率・助成額>
経費助成率: 75%(中小事業主の場合)
1人1時間当たり: 960円(同上)
<1人当たりの経費助成限度額>
訓練実施時間数の区分に応じて、次のとおり
10時間以上100時間未満: 30万円
100時間以上200時間未満: 40万円
200時間以上: 50万円
<1事業所当たりの限度額>
1事業年度おける1事業所の限度額は1億円
経費の助成率が75%で、賃金助成が1時間あたり960円というのは、
かなり魅力的な金額です。
しかも、1事業所あたりの限度額も1億円とかなりの大判振る舞い
の助成金となっています。
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<キャリアアップ助成金> 正社員化コース
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キャリアアップ助成金(正社員化コース)は、有期雇用労働者等
(非正規雇用労働者や派遣労働者)を正規雇用労働者に転換または
直接雇用した場合に助成されるものです。
この助成金を受給するにあたり、人材開発支援助成金の特定の
訓練修了後に正規雇用労働者へ転換等した場合に、以下の加算
措置が行われています。
有期→正規:1人当たり95,000円
無期→正規:1人当たり47,500円
この加算措置が、以下の通りに引き上げられる予定です。
有期→正規:1人当たり110,000円
無期→正規:1人当たり55,000円
つまり、非正規雇用労働者を正規雇用労働者に転換をする場合には、
人材開発支援助成金を活用して教育訓練をしてからの方が助成金の
金額が大きくなるということです。
以上のように、政府が「人への投資」にかなり本気で力を入れて
いることがわかります。
「労働移動」の助成金
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<特定求職者雇用開発助成金> 成長分野人材確保・育成コース
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高年齢者や障害者等の就職困難者を、ハローワーク等の紹介により
継続して雇用する労働者(雇用保険の一般または高年齢被保険者)
として雇い入れて「成長分野等の業務」に従事させ、人材育成や
職場定着に取り組む場合に、特定求職者雇用開発助成金の他の
コースより高額の助成金を支給するものです。
ただし、これまでは「成長分野等の業務」というのは、以下の業務に限られていました。
デジタル・DX化関係業務及びグリーン・カーボンニュートラル化関係業務
しかし、今回の補正予算では、成長分野以外の分野であっても、助成金の対象にするということです。
ただし、以下の要件を満たす必要があります。
・就業経験のない職業に就くことを希望する就職困難者を雇い入れる
・人材育成計画を策定して、人材育成を行う(一定の訓練期間、訓練時間を満たす訓練)
・賃金の引上げを行う
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<産業雇用安定助成金> スキルアップ支援コース
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この助成金はもともと、新型コロナウイルス感染症の影響で
事業活動の一時的な縮小を余儀なくされた事業主が、在籍型
出向により労働者の雇用を維持する場合に、出向元・出向先
の双方の事業主に対して、その出向に要した賃金や経費の
一部を助成するものでした。
今回の新コースは、コロナ感染症に影響であるかどうかを
問わず、広く在籍型出向を推進する助成金となっています。
在籍型出向は、自社にはない実践の場を経験することで
新たな技術を習得することが期待できます。
従業員の技術力向上を在籍型出向により行う場合に、
従業員を送り出す会社に対して助成することにより在籍型
出向を推進し、企業活動を促進することを狙っている助成金
です。
ただし、出向から復帰した際の賃金を、出向前と比べて5%
以上引き上げることが要件になっています。
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<労働移動支援助成金> 早期雇い入れ支援コース
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事業規模の縮小など事業主の経済的事情により離職を余儀
なくされた労働者で「再就職援助計画」の対象となった方を、
早期に雇い入れた事業主に対して助成するものです。
前職よりも賃金が上昇する再就職の場合には、上乗せ加算
(20万円)が行われる予定です。
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<中途採用等支援助成金> 中途採用拡大コース
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中途採用者の雇用管理制度を整備し、中途採用の拡大
(中途採用率の拡大、45歳以上の方の初採用または
情報公表・中途採用者数の拡大)を図る事業主に対する助成制度です。
対象となる中途採用の拡大は、これまでは以下の通りでした。
(1)中途採用率の拡大
(2)45歳以上の初採用
(3)情報公表+中途採用者数の拡大
今後は、45歳以上の賃金を前職よりも引き上げる中途採用を推進するために、要件の見直しが行われます。
上記(3)のコースは廃止され、その代わりに5%以上の賃上げを行った場合の助成額が増額される見込みです。
以上が来年1月以降に予定されている「賃上げ」に関する助成金の改定内容です。
これまでのメルマガでも繰り返しお伝えをしている通り、
コロナ禍においては雇用調整助成金を支給することで「雇用の維持」を図ることが大きな目的でした。
しかし、今後の国の政策としては、成長産業へ「労働移動」をさせることがテーマになっています。
その政策を実現させるために、上記のような助成金が支給されるということです。