近年の助成金の傾向として、申請時の添付書類が厳しくチェックされるようになっていることが挙げられます。
ここで添付書類の説明をさせていただきますと、ほとんどの助成金の申請時には、以下の労務管理書類の提出が求められます。
・労働条件通知書(労働契約書)
・出勤簿(タイムカード)
・賃金台帳
これらの3つの書類を総称して「法定三帳簿」と呼びます。
例えば最近では当たり前のように「出勤簿」に記録されている始業・終業の時刻、労働時間や残業時間と、
「賃金台帳」の記載されているそれが合っているのかということを厳しくチェックされます。
また、「残業代」が適正に支払われているのか、といったこともしっかりと確認されます。
よくあるのが、残業代を計算する上での単価を計算する際に、基本給だけしか対象にしていないケースです。
これだと残業単価が低くなってしまいますので、未払いの残業代が発生していることになります。
法律に基づいて計算した残業代と実際に支払われた金額に不足がある場合は、
過去6か月間にわたって差額を清算しないと助成金の支給を受けることができません。
助成金の支給要件には「労働諸法令に対し、法令違反がないこと」と定められているからです。
これらの「法定三帳簿」に加え、最近では「有給休暇管理簿」の提出が求められるケースも増えています。
その理由は以下の通りです。
働き方改革関連法のひとつとして、2019年4月からすべての企業を対象に、年10日
以上の年次有給休暇が付与される労働者に対して年5日を使用者が時季指定し取得
させることが義務づけられました。
本改正に伴い、使用者は「年次有給休暇管理簿」を作成して保存することが求められるようになったのです。
これを受けて、労働基準法施行規則第24条の7では、「年次有給休暇管理簿」について以下のように規定しています。
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第24条の7
使用者は、法第39条第5項から第7項までの規定により有給休暇を与えたときは、時季、
日数及び基準日(第一基準日及び第二基準日を含む。)を労働者ごとに明らかにした
書類(第55条の2において「年次有給休暇管理簿」という。 )を作成し、当該有給休暇
を与えた期間中及び当該期間の満了後3年間保存しなければならない。
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上記の通り、「年次有給休暇管理簿」とは労働者ごとに年次有給休暇の、
・時季(年次有給休暇を取得した日付)
・日数(年次有給休暇を取得した日数)
・基準日(労働者に年次有給休暇を取得する権利が生じた日)
を管理するための書類です。
つまり、「法定帳簿」ということになります。
そのため、助成金の添付書類として求められるようになったということです。
従来の年次有給休暇の管理方法は、前年からの繰り越し日数を含めた「残日数」を管理する方法が一般的でした。
しかし、残日数による管理では年5日の取得義務を満たしているかを使用者においても確認することができず、法改正後の管理方法として不十分であるため、取得日数を基準とした管理が義務づけられることになっています。
以上のように、助成金を積極的に活用するためには、まずは助成金の申請で要求さる書類等が整備されているか、労務管理が適正に行われているのかということが重要なポイントになります。
助成金というのは
「雇用保険に加入をしている社員が1人でもいれば簡単に貰えます」
というような営業トークで近づいてくる業者が多いですが、助成金というのは国の制度趣旨を理解して、適正な労務管理が行われている事業主に支給されるものであることを忘れないで下さい。