政府は企業の休業手当を支援する雇用調整助成金について、新型コロナウィルス禍で支給限度額を引き上げていた特例措置を、2023年1月末で終える調整に入ったとのことです。
危機対応の雇用維持政策は転換期を迎え、今後は人材の成長分野への移動やリスキリング(学び直し)に政策の重点が移ることになります。
雇用調整助成金の通常の上限額は、1人1日あたり8355円です。
しかし、コロナ禍で企業活動が厳しくなったことを踏まえ、段階的に上限額を拡充して。最大1万5000円まで引き上げていました。
この特例措置は一定に効果があったとみられ、苦境に立たされていた航空、宿泊・飲食、小売り、製造業など幅広い業種の雇用を下支えしていました。
これにより、失業率を2〜3%台に抑え続けることができていたのです。
一方、感染拡大の繰り返しで危機対応が長引くにつれて、その副作用が指摘されるようになってきました。
経営難の企業が働き手を抱え込み続けることで、より成長が見込める産業への労働移動が妨げられるという問題です。
欧州などではコロナ対応の雇用下支え策を終えている国が多い中、日本でも特例の縮小や出口をどう探るかが焦点になっていました。
政府は10月に支給上限を引き下げ1万2000円としていましたが、さらに12月から9000円とし、2023年2月からは8355円(通常の上限額)に戻す方向で検討しています。
助成の上限額を引き下げつつ、支給要件の一部は2023年3月まで延長します。
業績の落ち込み具合を前年ではなく、コロナ前の2019年などと比べて判断する対応を続けます。
雇用調整助成金の支給決定額は約6兆1200億円にも達し、財源不足の問題も浮上しています。
助成金の財源は本来、企業からの雇用保険料ですが、それだけでは賄えなくなり、失業者向けの積立金からの借り入れや一般会計からの繰り入れなどでしのぐ、異例の綱渡り状態になっているからです。
「今月の特集(ビデオ)」でもお伝えしている通り、今後は産業雇用安定助成金を活用した円滑な労働移動へと政策が移ることになります。