単行本:304ページ
出 版:PHP研究所
価 格:1,155円(税込)
はじめに
話し合いとは「対話」と「議論・決断」のプロセスに分かれており、何かを決めるためにあります。こんな当たり前のことですが、学校では教えないにも関わらず、社会に出るといきなり実技を求められてしまいます。日常的に行われている「話し合い」をもう一度学びなおしてみましょう。
企業の話し合いは機能不全に
企業では来季の計画や新しいプロジェクトの進め方、職場の問題解決について様々な話し合いが行われていますが、次のような現象が多く見られると筆者は述べています。
- リーダーが結論を誘導し、自由な話し合いを妨げる
- 参加メンバーが自分の言いたいことをかぶせて発言する
- リモートの会議では誰も反応しない
- 声の大きい人の意見が会議室にこだまする
このような「残念な話し合い」が頻発する最大の要因は、学生時代までさかのぼっても、誰も話し合いを学んでいないということにほかなりません。
話し合いとは「対話+決断」である
話し合いのプロセスは大きく分けて「①対話する」フェイズと「②決断する」フェイズの2つになります。対話という言葉は割と日常的に使われますが、その内容について深く確認することはあまりありません。これに対して筆者はとてもわかり易い表現で説明しています。
結論をただちに出すのではなく、まず相互の「違い」の理解を深めるコミュニケーションを「対話」というのです。
「お互いのズレ」の持つ意味
対話において、重要な第一歩は「当事者として自分の意見を持ち寄る」ことです。これを行うと、高い確率で自分の意見が人と違うという現象が発生します。
そのお互いのズレに対して「どちらが正解か」を判定しようとするのは正しく残念な話し合いです。大切なのは他者の意見がどんなに自分とは異なっていても、一旦は受け取ることだと筆者は説明しています。
お互いの意見のズレを探り合うとき、「他人の靴を履く」家のような感覚を持つことがあります。(中略)私たちは、学校教育において、長く、「他人の立場に立ちなさい」「他人の気持ちを想像しなさい」と言われてきました。しかし、私たちは、そのとき「他人の靴」を本当に履いていたでしょうか。
今後、ますます不確実な世界を生きていくことになる私たちは、多種多様な価値観を交換しつつ、正解を導き出す必要があるといえます。
決断の作法
筆者が説明する決断のルールは下記のとおりです。
- メリット・デメリットを明らかにする
- 多数決に安易に逃げない
- 「誰が決めるか」を決める
- 「いつ決めるか」を決める
- 「どのように決めるか」を決める
良い対話を繰り返していても、その先に「決断」と「実践」がなければ意味はありません。そして、「対話→決断→実践」というサイクルを機能させるためには、自分で決めたのだからやるという意識をメンバーに持たせることが重要で、そのためには「メンバーで話し合い、メンバーが決める」ことが大切だと筆者は締めくくっています。