特に育児や介護をしている労働者の急な早退や中抜けの場面で使える「時間単位の有給休暇」の導入方法について解説します。
はじめに
ワークライフバランスの気運が高まり、育児や介護との両立のために柔軟な働き方を許容する労務管理制度が社会的に求められています。
中でも通院、子どもの学校行事への参加や家族の介護など、労働者のさまざまな事情に応じて「数時間だけ」有給休暇を取得できる制度は労働者にとってありがたいものでしょう。以下、時間単位の年次有給休暇の導入方法について解説します。
時間単位の年次有給休暇とは
年次有給休暇は原則1日単位ですが、労使協定の締結により、年5日の範囲内で、時間単位での取得が可能となります。この「年5日の範囲内で」という点については、そもそも年次有給休暇が「まる1日労働から解放して労働者のリフレッシュを促すこと」を目的としているために、時間単位の年次有給休暇付与ができる日数を限定しています。
またこの時間単位の年次有給休暇制度は義務ではなく、あくまで労使協定により合意して導入する任意の制度ですから、会社が「導入しない」という立場を取っても法律上問題はありません。
個人的には時間単位の管理は、1日単位、半日単位の付与に比べて、数段に管理が複雑、煩雑になりますので、導入する前には、自社の管理部のマンパワーンドも踏まえて、慎重に検討されることをおすすめします。
導入の際にやるべきこと
時間単位の年次有給休暇の導入のためには以下の内容を定めた労使協定を締結します。この労使協定は、労働基準監督署へ提出する必要はありません。
- 時間単位年休の対象労働者の範囲
- 時間単位年休の日数
- 時間単位年休1日の時間数
- 1時間以外の時間を単位とする場合はその時間数
対象者(①)
特段の事情がない限り、公平性の観点からすべての労働者を対象とした方が良いでしょう。
日数(②)
法律上の上限5日の範囲内で決定します。
時間単位年休の1日の時間数(③)
時間単位年休を何時間取ったら有給休暇1日分とみなすのかを労使協定で定める必要があります。
所定労働時間が8時間の場合は「8時間=有給1日」と分かりやすく規定できますが、所定労働時間が「7時間30分」などの場合は、労働者有利に切り上げて「8時間=有給1日」などとする必要がある点に注意が必要です。また、パート・アルバイトなど労働時間が短い労働者のためには、例えば以下のような基準を定めます。
所定労働時間が5超〜6時間以下の者…有給1日=6時間
所定労働時間が6超〜7時間以下の者…有給1日=7時間
所定労働時間が7超〜8時間以下の者…有給1日=8時間
所定労働時間が変更になった場合
途中で所定労働時間が変更になった場合には、以下の例のように新しい所定労働時間で有給残日数を再計算します。
例:所定労働時間が1日8時間から1日5時間に変更
変更前:有給残日数10日と6時間
変更後:有給残日数10日と4時間※
※6時間×5÷8=3.75≒4時間(端数切り上げ)
時季指定義務との関係
現在年5日間の有給休暇取得が義務化されていますが、時間単位年休で取得した休暇は義務化された有給取得から控除が認められていません。
つまり、時間単位年休以外の有給休暇で5日の有給取得が必要です。