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《2112》「やりがい搾取」を防ぐために

兵庫県の人気洋菓子店が、社員らに月100時間超の時間外労働をさせて労働基準監督署から是正勧告を受けたというニュースが全国で報道されました。「やりがい搾取」とも批判された本件を例に、これからの労務管理を考察します。

はじめに

兵庫県の人気洋菓子店「パティシエ エス コヤマ」の運営会社が、労働基準監督署から労働基準法違反で是正勧告を受けました。

内容は、主に⑴残業時間の多さと⑵一部について残業代の未払いがあったようです。⑴について、一部では「過労死ライン」を超える月100時間超の時間外労働があったようです。また、⑵については残業代の支払いが一部不足していたようです。

 

やりがい搾取とは

今回は、「有名なパティシエのもとで働くことのやりがいを盾に不当な労働条件で働かせていた」という批判をされたわけですが、少なくとも一部労基法違反の項目があった以上、違法な労務管理であったことに疑いの余地はなさそうです。この「やりがい搾取」という批判は、今回のようないわゆる「手に職をつける」系の業種の他にも、「スタートアップ企業」「介護事業」「仲間意識や連帯を強いる風潮の企業」などでも起こりがちです。

 

やりがいとは何か

「やりがい」という言葉を紐解くと「やること=行動」と「甲斐=成果、値打ち」、つまりは「行動によって得られる価値・成果」を意味します。では仕事における「行動」と「価値・成果」とは何でしょうか。

 

行動

業務上の行動については、一般的にその「裁量の幅」と「やりがい」は相関関係にあるでしょう。一般に自らの工夫や状況判断が必要な仕事ほどやりがいは増すことが期待されますが、逆に裁量の幅が広すぎると満足度低下につながるかもしれません。行動面からやりがいを考えるときには「どのくらい裁量を与えれば最もやりがいを感じるか」を検証すると良さそうです。

価値・成果

価値・成果について、もちろん行動量・行動の質に見合った金銭的報酬(つまり給与や昇給)であるかを分析することは大切です。同業他社や同年代の他業種の報酬と比較して妥当な額であるかを確認しましょう。ただし、それ以外にも「経験値や技術が身に付いた」「お客様に喜んでもらえた」「先輩の手を借りずに仕事を一人でできた」「所属感が得られた」などの心理的・技術的報酬もやりがいに影響します。また逆に、「プライベートの時間を犠牲にした」「健康を害した」などのマイナス価値も考慮すべきでしょう。

 

やりがい搾取を防ぐために

やりがい搾取とならないために、まずは総労働時間を減らすことが必須となります。長時間労働は違法となる恐れがあるほか、スタッフ採用・定着率の低下や評判リスクなどの問題を発生させることに留意し、まずは最大でも法定労働時間+10%程度の労働時間に抑えましょう。その上で、自社の「やりがい」を分析し、どのように人事評価・労務体制をデザインすれば持続可能な組織になっていくかを考えていきましょう。

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