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《2110》雇用調整助成金による「就労意欲低下」への対応策

コロナ禍により深刻なダメージを受けている業種における「従業員の就労意欲低下」が問題視されています。コロナ禍後を見据えた今後の対策を考察します。

はじめに

新型コロナウイルスの感染拡大の影響で大きく拡充された雇用調整助成金により、失業率は諸外国に比べ低く維持されている一方で、働かずとも賃金補償が受けられることで、就労意欲の低下や会社への帰属意識の希薄化などの問題が引き起こされています。手厚い雇用調整助成金の弊害と、今後の対応策について考察します。

 

雇用調整助成金の現状

雇用調整助成金は現在、「1日当たり上限13,500円、助成率90%※」となっています。ただし、売上30%以上減などの著しい影響を受けている企業については「1日当たり上限15,000円、助成率100%※」で計算されるため、雇用調整助成金を申請する企業が「後から大部分が助成される前提」で休業手当を手厚く支給するインセンティブが働きます。 (上記の特例は現段階で2021年11月末まで継続することが決定しています。)※解雇がない場合

 

就労意欲低下の問題

雇用調整助成金により休業手当の実質80%〜100%近くが補償される影響で、特に「働かずとも同等の賃金がもらえるアルバイト」の就労意欲の低下、モラルの低下が問題となっています。

例えば、コロナ禍前に「週3日程度、変動シフト」の契約で勤務していたアルバイトについて満額の休業手当を支払い続けることで、「実際は週3回働く意思がないのに休業手当だけ受け取っている状態」になったり、休業中に会社の許可なく他のアルバイトをしたりといった就労意欲上・モラル上の弊害が生まれています。

 

対策

就労意欲低下の問題に対しては、次のような対策が考えられます。

  • 全休業とせず部分的に勤務シフトを入れて就労意欲が低下しないように配慮する
  • 休業手当の補償率を下げて、就労した場合の金銭メリットを増やして就労を促す

 

休業手当引き下げの注意点

なお、休業手当の補償率を引き下げる場合、休業労使協定によって労使で合意する必要があります。下記の表の通り、休業手当の金額は計算方法によって随分違いますので、休業補償率を引き下げる場合も「急激に生活を脅かさない最適なライン」をよく検討しましょう。

※月所定労働日数20日、平均賃金計算期間の暦日数92日で計算

 

解雇の問題

雇用調整助成金で大部分の休業手当負担が補填されている現在、事業縮小による整理解雇はかなりハードルが高いと言われています。一方的な休業手当の縮小や解雇に安易に踏み切るのではなく、再就職先も見据えた丁寧な対応が求められるところです。

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