セクハラやパワハラ、マタハラなどのハラスメントが起きた際には、会社側の「初動対応」が重要になります。ハラスメントの疑いがあるときの調査の進め方について解説します。
法令上の根拠
職場において起きたハラスメントについては、会社にも法的責任があります。具体的には使用者責任(民法第715条)、労働契約法第5条に定める安全配慮義務違反としての債務不履行責任(民法第415条)、あるいは男女雇用機会均等法、セクハラ・パワハラに対する厚労省の指針などが関係してきます。
初動対応1:安全確保
初回相談の場においては申告者(被害者)の心身の安全を最も優先し、相談による二次被害が起こらないように気をつけるべきでしょう。ハラスメントについては、多くの場合相談者は告発により身に危険が及ぶことを恐れています。プライバシーが保障されることを伝え、安心してもらうことが重要です。
声掛けの例
この度はご相談ありがとうございます。この相談の場では、あなたの心身の安全を最優先に考えています。あなたのプライバシーに最大限配慮し、この相談について、あなたの許可なく口外することはありません。申告をしたことを理由として人事評価が下がることもありませんので安心してください。
初動対応2:相談窓口・方法
安全確保に関連して、会社側の相談窓口としての適格性にも注意を払います。ハラスメントの内容に適した相談窓口を選定することが望ましいでしょう。
例えばセクハラ相談の場合は同性の担当者を選定したり、パワハラ事案においては直系の上司以外が対応したりするなど、中立性を確保できるよう配慮してください。
相談者がメールや電話での相談を望む場合はそれも認めて良いでしょう。また、自社以外に設置する外部の窓口の利用も検討できるでしょう。
声掛けの例
私は中立の立場で相談に応じます。もし私が窓口となることで中立性が確保できないとあなたが感じる場合、他の相談者を選ぶことができますが、私がこのまま相談に乗ってもいいですか?あなたは対面の他にメールや電話でも相談ができますが、希望はありますか?
初動対応3:事実確認
事実確認の際には、「いつ」「誰が」「何を」「どのような方法で」「何度」などの具体的事実のヒアリングに徹し、感想や評価を伝えないように気をつけましょう。例えばセクハラ調査の際に「それはあなたの態度にも問題があるのではないか」などと言うことは相応しくありません。
声かけの例
具体的な内容について教えてください。いつ、誰が、何をしたか、できるだけ詳しく教えてください。ただし、思い出して辛い場合は無理に答えていただかなくても結構です。
初動対応4:客観性の確保
ハラスメントの申告者に対して、事件を客観的に調査する必要があることを伝え、加害者とされる者や事情を知る第三者に対してヒアリングをしていいかを必ず事前に尋ねてください。情報提供者に対してもプライバシーを守ること、漏洩した場合は懲戒の対象になりうることを伝えてください。当然、加害者とされる者の言い分を聞かずにそれと決めつけた調査をしてもいけません。
声かけの例
(申告者に)今回の件を客観的に調査するために、相手方に事実確認をしてもいいですか?
(第三者に)この調査は重大な個人情報を含みます。身近な同僚も含め口外しないように注意してください。もしあなたから本件が漏洩したことがわかったときには、あなたに対しても懲戒処分をすることがあります。