はじめに
業務委託契約をめぐるトラブルでは、しばしば「労働者性の有無」が重要な争点となります。Uber Eatsなどいわゆるギグワーカーという働き方が注目を集めるなか、企業側が気をつけるべきポイントを整理します。
業務委託契約とは何か
業務委託契約とは「何らかの業務を外部の企業や個人に頼むときに締結する契約」を指しますが、その多くは民法に定める典型契約のうち「請負契約」あるいは「準委任(委任)契約」に該当すると言われています。請負契約と準委任(委任)契約は以下の表のような違いがあります。
労働契約との違い
業務委託契約は、人を雇用する際の「労働契約」と比べて発注側(企業側)が追う責任(解雇の高いハードルや残業代、社会保険加入などのコスト面)に違いがあります。
そのため、一部ではこれらのリスク・コストを軽減する目的で「業務委託契約」が用いられてきた歴史があります。「偽装請負(=請負契約と偽っているが実質的には労働契約)」などの問題も起きていたため、業務委託契約にネガティブな印象を持つ人もいるでしょう。
ただし、冒頭にあげたギグワーカーなど、「自由で裁量のある働き方」に世の中全体がシフトしていく中で、業務委託契約を適法に雇用契約と使い分けていくことが一般化していくものと予想されます。現在すでに、副業については労働契約でなく業務委託契約で行われるものが少なくありません。
注意すべきポイント1:労働者性
まず注意すべきポイントとして「労働者性」があります。「時給で報酬を支払っている」「仕事を断る自由がない」「仕事のやり方に裁量がない」など、実態として「労働者性」が認められた場合、たとえ業務委託契約書があっても実質的労働者と認定され、残業代支払い義務や社会保険等の加入義務が発生します。
注意すべきポイント2:報酬
業務委託契約の内容、特に報酬にかかる条件があまりに搾取的であったり、支配的なものであったりする場合、働く側は不満を持ちます。
そしてその不満がやがて「業務委託契約を結ばされているが、実質的には労働者だから残業代を支払え」などと言う権利主張を誘発することにつながります。
労働契約と比べて業務委託契約が保障の小さいものであると認識されている点を踏まえて、報酬について労働契約よりも有利な条件にすることを検討すると良いでしょう。特に、効率よく仕事をこなしたら労働契約よりも短時間で多くの報酬が手に入るような絶妙な報酬の設計が重要になります。
注意すべきポイント3:検品
また、納品された委託業務の「検品」も重要となるでしょう。業務委託契約により働く人はいわば「取引業者」であることから、労働契約と比べて会社に対するロイヤルティー(忠誠心)が低くなりがちです。
継続的に安定した品質で仕事をしてもらうためには、成果物が報酬に見合ったものであるかきちんと検品チェックする仕組みを導入し、程良い緊張感を継続させることが大切でしょう。