社会保険の加入状況が適正であるかを確認するために、定期的に年金事務所の調査があります。近年ますますこの調査の厳格化が進んでおり、注意が必要です。
はじめに
近年、社会保険手続きが適法になされているかを確認するための年金事務所の調査が厳格化傾向にあります。企業側が加入をごまかせないよう様々な角度から調査が行われます。以下、年金事務所調査の際のポイントを整理します。
調査の対象
年金事務所が行う適用調査では、主に以下の2つが調査対象とされます。
①社会保険に加入すべき人が加入しているか
②正しい報酬で加入しているか
①について、加入すべき勤務形態(労働時間や契約期間)であるにもかかわらず、「パートタイマー・アルバイトだから」「契約社員だから」「試用期間だから」などの誤った認識で社会保険加入を逃れている人がいないかを確認します。
そして②については、社会保険の報酬に算入する賃金の誤った認識により(あるいは社会保険料を安くするために意図的に)標準報酬月額が実態とかけ離れていないかを確認します。
チェックポイント1:労働時間
適用事業所に常時使用される70歳未満(健康保険は75歳未満)の人は、国籍や性別、年金の受給の有無にかかわらず、社会保険の被保険者となります。
「常時使用される」とは、雇用契約書の有無などとは関係なく、適用事業所で働き、労務の対償として給与や賃金を受けるという使用関係が常用的であることをいいます。試用期間中でも報酬が支払われる場合は、使用関係が認められることになります。
原則として、正社員と比べて4分の3以上働く労働者は社会保険加入の対象者となりますが、正社員の労働時間が週40時間とすると4分の3、つまり週30時間以上恒常的に働いている場合は、パートタイマーや契約社員などであっても社会保険加入対象者となります。
ちなみに、週30時間を月間に換算するとおおよそ「月間130時間」という数値が導き出されます。年金事務所の調査の際、調査官は社会保険未加入者が「実態として130時間を超えていないか」を目安としてチェックしています。
チャックポイント2:源泉所得税納付書
調査では賃金台帳を提示しますが、補助書類として源泉所得税の納付書の提出を求められます。これは、「源泉所得税の納付書に書かれている給与支給人数と社会保険加入人数の差」に注目しています。人数にズレがある場合、社会保険未加入者について前述の労働時間や契約内容等を確認して適法性を確認します。
また、源泉所得税納付書に書かれている給与支給総額と標準報酬月額総額の差にも注目されます。差が大きい場合、算入漏れの手当があったり、意図的に報酬額を低くしたりしている可能性を疑います。
チェックポイント3:雇用保険加入人数
近年の厳格化の流れを受けて、調査官が雇用保険の加入人数を把握している可能性があります。雇用保険の加入人数と社会保険の加入人数に差がある場合、そこに合理的な理由があるかを確認します。源泉所得税の納付書を意図的に2枚に分けて社会保険未加入者を隠しているなどの不正を発見するためにチェックしている可能性があります。