社労士法人アノテコのニュース

ニュースレター

《2108》予想どおりに不合理(早川書房)

単行本:256ページ
出 版:PHP研究所
価 格:1650円(税別)

はじめに

行動経済学研究の第一人者である著者による、合理性を紐解く一冊です。私たちは常に合理的に行動しようとします。もし間違っていても「市場原理の力」によって、正しい合理的な道に戻ることができるのです。行動経済学の面から合理性について解説します。

 

ゼロコストの魔力

何かの商品やサービスに「無料!」や「0円!」などという売り文句が掲げられていたら、心を揺さぶられてしまう消費者は多いのではないでしょうか。もっと具体的な例えを挙げるならば「○○に加入で××は無料!」や「2つ目は0円!」といったものがあります。

人々はこの「無料」という言葉が持つ価値を、必要以上に良いものと捉えてしまいがちなのです。ゼロコストであることが明らかになった瞬間、さっきまで懸念していたデメリットが些細なものに感じられてしまったり、あるいはすっぽりと忘れてしまったりすることもあるでしょう。

これは明確に価格のついた商品やサービスの売買の時にだけ起こる現象ではありません。自分が本来想定したよりも大きなメリットを提示されたとき、人の合理性というものは大きく揺さぶられてしまうのです。

 

「無料!」の力を活かす

前項でお伝えした「ゼロコストによる合理性の低下」は誰にでも起こりうることであり、これそのものを良い悪いと断ずることはできません。しかし、消費者ではなく生産者の立場になって考えてみると、このゼロコストの持つ力を有効活用しない手はありません。これは決して消費者の弱い心につけこむ、などといったものではなく、生産者としてまさに合理的な判断をしましょう、ということです。

数年前、Amazonが一定額以上の注文で配送料が無料になるサービスを開始したとき、フランスだけは売り上げが増加しませんでした。その原因はフランス支社が送料を1フラン(=約20円)にしたことにあります。その後、他国と同じように送料を無料にしたところ、売り上げは順調に伸びていったということです。

このエピソードだけ聞けば当然のことのように思えますが、「この○○円は本当に必要なのか?」と身の回りを観察してみてはいかがでしょうか。ご自身のビジネスにおいて、より消費者の心を揺さぶる合理的アプローチを発見できるかもしれません。

 

先延ばしを制限する

「先延ばし」は、人間なら誰もが持ち得る心理の1つです。1週間後に出張が控えていたとして、それが分かった日のうちに可能な限りの準備をしておくことが最も合理的であることは疑う余地がありません。しかし、それを分かっていながらも出発の前日や前々日になって荷造りをする人が多いものです。

この先延ばしの心理は、単なる怠惰のほかに、多すぎる現代社会の選択肢が影響しています。もし不測の事態に陥ったとしても……コンビニが、スマートフォンが、電子マネーが解決してくれるかも知れないのです。解決法として、先延ばしを制限する=選択肢を制限してしまうということが効果的です。今までよりも選択肢を狭めて予知を減らすことで、ビジネスでもプライベートでも、先延ばしにせずに即断即決で行動せざるをえなくなるのです。

感情に判断を委ねると非合理なアクションを起こしがちですが、本書で述べられているようないくつかのプロセスをたどると合理的な判断にたどり着くことができます。人間が持つ合理性・不合理性を見つめなおしてみたい方におすすめの一冊です。

投稿日:

Copyright© ニュースレター , 2025 All Rights Reserved Powered by AFFINGER5.