社労士法人アノテコのニュース

ニュースレター

《2103》給与の「デジタル払い」を考える

給与の支払いを「PayPay」などの電子マネーで行えるようにする議論が厚生労働省の審議会で進んでいます。給与支払いについての法律的な決まりを解説し、今後の給与支払い方法の変化を考察します。

はじめに

現在多くの場合給与は「銀行等の口座へ振り込み」によって支払われていますが、近年のキャッシュレス化の流れもあり、銀行口座を介さず支払えるようにするべく議論されています。

給与支払いに関する法律について解説するとともに、給与のデジタル支払いがどのように社会に影響を与えるかを考察します。

 

賃金支払いの5原則

労働基準法24条において、賃金債権の確実性を高める目的で、賃金の支払いの際の5つの原則が以下の通り定められています。

ただし例外として、会社と労働者の同意があれば、銀行その他の金融機関の口座等への振り込みなどで給与を支払うことが認められています。

つまり法律的には、「原則は法定通貨(現金)で給与支払いをする義務があるが、同意があれば振り込みでもよい」という建て付けになっています。

 

給与のデジタル払いの内容

前述の賃金支払いルールを一部変えて、給与支払い方法の選択肢として「現金払い」「金融機関口座への振り込み払い」以外に、PayPay(ペイペイ)やLINE Pay、メルペイなどスマートフォン決済サービスなどを提供する「資金移動業者」の口座への送金も認めようとしています。

具体的には、資金移動業者が発行するプリペイド(前払い)式の給与振り込み用カード「ペイロールカード」への送金が想定されています。

ペイロールカードとは給与支払い用のカードで、会社から直接ペイロールカードに「チャージ」することができるもので、アメリカでは既に普及しています。

利用者はペイロールカードに入金された給与をATMで引き出すこともできるし、電子マネーのまま決済に利用することもできます。

銀行口座への振り込みと比較してペイロールカードへの送金の手数料が安くなるか高くなるか現段階では不明ですが、キャッシュレス化推進の社会的な流れを考えると安く設定される可能性は十分考えられるでしょう。

 

誰が得をするか

デジタル支払いの恩恵を最も受けるのは、外国人労働者と言われています。

外国人は銀行口座の開設をすることが難しく、銀行振り込みに代替する給与支払い手段への需要が元々ありました。

電子マネーは海外送金のハードルが低くなる点でも、多くの外国人労働者にとって喜ばしい変化となるでしょう。

あるいは、日雇い労働者やアルバイトに対して、電子マネーで「日払い」「週払い」などの選択肢を企業が取りやすくなるという意味において、非正規労働者、求人をする企業双方に役立つ可能性もあります。

逆に、初期段階では毎月固定給の正社員の多くは、まとまった金額を電子マネーのウォレット(財布)に送金されることを希望しないでしょう。

投稿日:

Copyright© ニュースレター , 2025 All Rights Reserved Powered by AFFINGER5.