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《2012》監督署調査で指摘されやすい残業代計算の間違いについて

労働基準監督署の臨検調査や、労使紛争などで最も争点になることのひとつに「残業代計算の間違い」があります。間違えやすい箇所についてパターンごとに紹介します。

はじめに

働き方改革関連法の施行や、新型コロナ感染拡大による働き方の変化により、残業は全国的に減少傾向にあるものの、逆に残業の多い業種業態は今まで以上に目立つことになり、結果残業を巡ったトラブルリスクが高まることが予想されます。

しかし、残業代の計算方法については、まだ理解が十分でなく、給与計算の誤りがしばしば指摘されます。以下、間違えやすい残業代計算のポイントをパターンごとに説明していきます。

 

パターン1:手当の参入漏れ

残業代の単価を計算する際、職務手当や役職手当等の諸手当を算入していないパターンです。

労働基準法では「算入しなくてもよい手当」が限定的に列挙されており、逆にそれ以外の手当はすべて残業単価の計算に算入しなければならないことになっています。労働基準法で除外することができる手当は、以下の通りです。

・家族手当
・通勤手当
・別居手当
・子女教育手当
・住宅手当※
・臨時に支給される手当
・1ヶ月を超える期間ごとに支払われる手当(賞与など)

※なお、住宅手当について、実費弁償的手当については除外できますが、「全社員一律10,000円」など、居住形態に関わらず一律に支給されるものは除外できません。

 

パターン2:所定労働時間が多すぎる

月給者の場合、月給を時給に換算して残業代単価を求めますが、時給に換算する際の「所定労働時間」が法定上限を上回っている、という間違いがよく起こります。

週40時間の法定労働時間を月に換算するとおよそ173時間(週44時間制の業種については約191時間)となり、法定労働時間を超える所定労働時間というのは法律上ありえないため計算の誤りとなります。

例えば「うちは月間25日勤務だから25×8時間=200時間で割って残業単価を決めている」などといった方法は、法定労働時間をオーバーする所定労働時間で月給を割って単価を求めており、残業単価が不当に低くなるため誤りです。

また、変形労働時間制を採っているにも関わらず、変形労働時間制における月間平均労働時間を残業計算に用いていない、などの誤りもあります。

 

パターン3:残業単価を独自に設定する

給与額に関わらず一律の残業単価を定めるなど、会社独自の残業代を決めるという間違いもよくあります。設定した残業単価が法定の計算を上回っていたなら問題ありませんが、法定計算を下回っている場合は差額の支払いが必要です。

 

パターン4:固定残業代の差額検証を行っていない

「うちはみなし残業(固定残業制度)だから」という理由で労働時間の集計をせず、固定残業代の範囲に実残業が収まっているかを確認していない、という行為も危険があります。

固定残業代を超えているかどうかを毎月きちんと集計し確認していない場合、その固定残業制度は形骸化しており無効であるとみなされる恐れがあります。固定残業制度が無効となった場合、その固定残業手当も含めた月給から残業単価を計算し、差額を支払わなければならないため金銭ダメージが大きくなります。

固定残業制度と主張する場合は、毎月実残業時間を元に計算した残業代と固定残業代を比較し、不足がある場合は差額を支払っておかなければなりません。

 

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