新型コロナウイルスの影響でテレワークが増えたことにより、時間関係なくメールやメッセンジャーで仕事をする機会が増えました。話題の「つながらない権利」について考察しました。
はじめに
新型コロナウイルスの影響で、テレワークやリモートワークが普及しています。テレワークは場所や時間に縛られず働ける点で便利ですが、その反面、時間や曜日に関係なくメール対応などをできる状況になり、プライベートとの境界が曖昧になるという課題が生まれています。以下、話題の「つながらない権利」について考察します。
つながらない権利とは
つながらない権利とは、「労働者が勤務時間外には仕事のメールや電話などへの対応を拒否できる権利」のことを指します。
フランスでは2017年に、従業員50人以上の企業を対象に、業務時間外に会社から仕事の連絡があっても労働者側が拒否できるという「つながらない権利」を定めた法律が施行され、労使間で協議することが義務づけられました。この「つながらない権利」は、イタリア、カナダ、イギリス、フィリピン、ニューヨークなどほかの国や都市でも広がっているということです。
目的
「つながらない権利」の目的はサービス残業による労働者の不利益防止と、労働者のメンタルヘルスケアと考えることができます。残業もメンタルヘルスも近年注目されている労務課題なので、今後日本でも法整備されるかもしれません。
現実的な対応
フランスではこの法改正を受けて、「夜間のメールなど使用禁止」などのルールを設けて対応している企業があるようですが、賛否両論が起こっています。「パソコンやスマホなどのデバイスの使用を制限するだけでは勤務時間にしわ寄せが行くだけで根本的な改善にならない」などの声もあるようです。
現実的な対応としては以下のものが挙げられます。
1.脱属人化
仕事が属人的であるほど、プライベート時間中に対応する必要性が高まります。グループウェアなどでタスクを複数人で共有し、出勤時間中のスタッフが誰でも対応できるようにするなどの「脱属人化」をすすめることで、勤務時間外の対応をしなくてもよくなります。
2.ガイドラインの策定
デバイスの使用制限を強制する前に、勤務時間外や夜間の連絡の是非についてのガイドラインを話し合うことができるでしょう。「夜9時以降は社内の連絡はしないように気をつけよう」や、「不要なccメールを送らない」などの方向性が決まることが、意識の変化に繋がるかもしれません。なお、ガイドラインの策定は、トップダウンよりもボトムアップで決めた方が理解を得られやすいでしょう。
(ガイドラインの例)
・夜9時から朝6時までは社内の報告連絡相談は原則として控えること。
・致命的な顧客クレームや災害など緊急事態は時間外連絡もやむを得ないものとする。
・対応可能時間をあらかじめクライアントに伝えること。関係性的に難しい場合は上司に伝えてもらうこと。
体感の大切さ
つながらない権利について考える上では、時間外の連絡の多少よりも、「社員が現在の環境をどう感じているか」の方が重要でしょう。安易にデバイスの使用制限に走るよりも、スマホなどの便利さとプライベート時間の確保をどのように妥協するのが最も心地よいと感じているかを、社員に対してヒアリングしていくと良さそうです。