世の中のあらゆる「速度」を決定的に上げたインターネット。速度の向上に留まらず、利便性も格段に高くなっています。しかし、その速度が生み出した様々な弊害も見過ごせません。速すぎるインターネットとの向き合い方について読み解いてみましょう。
単行本:239ページ
出 版:幻冬舎
価 格:1,600円(税抜)
インターネットとは
インターネットは平成の最大の希望であり、そして最大の失望だった。
これは本書内で述べられている、筆者の考えです。
世界規模で相互接続されたネットワークにより、人々の暮らしは一変しました。文字や音声の即時伝達や、場所を問わない多人数の同時接続などといった要素は、まさに革命と言えるでしょう。
インターネットが高度に成長した現在では、なおさら世界中の人にとって必要不可欠な技術として確立されています。
では、筆者の「平成最大の失望」という言葉にはどんな意味が込められているのでしょうか。
主軸は「自分の物語」
インターネットが人々に与える価値は「モノからコト」へと変遷しています。ネットワークを通じてあらゆる「モノ」と繋がるというメリットは、既に目新しいものではなくなっているのです。
「映像の(20)世紀」から「ネットワークの(21)世紀」へ。情報技術の発展はいま、人間の心を動かすものとそのメカニズムを根底から変えようとしている。
YouTubeにおける動画投稿という行為は、数年前は今のように多くの人が取り組んでいたわけでありません。
しかし、現在ではYouTubeで活動するためのノウハウ本が人気になるなど、コンテンツが持つ価値が大きく変わってきています。
多くの人の目的は映像を発信するためのテクニックを習得することではありません。自分の物語を簡単に世の中に発信できる。そこに最大の価値があるのです。
クローズになりつつあるインターネット
世界中の人々を繋ぎ、膨大な情報をオープンな状態で共有するというのが最初のインターネットの形でした。
ところが最近では、限られたメンバーを集め、限定的なコミュニティの中で有用な情報を共有したり、活発な議論を行ったりする流れが生まれています。オンラインサロンはその典型的な例と言えるでしょう。
そういったコミュニティの在り方を筆者は否定しているわけではありません。問題なのは、インターネットが人間に「考えさせないため」の道具になっていることなのです。
手を伸ばせばどんな情報でも容易に手に入り、有益な取り組みはクローズな状態で共有し利益を外に漏らさない。これは、インターネットが目指していた理想とは遠くかけ離れた状況と言えるでしょう。
今一度、インターネットとの向き合い方について深く考えることの出来るおすすめの一冊です。