残業上限規制に関連して、歩合給与の残業代の計算方法が適切であるかの確認を改めて行いましょう。
はじめに
働き方改革関連法が施行され、残業に対して世間の監視の目がますます強まることが予想されます。
総残業時間を抑えることも重要ですが、残業の計算方法にも今一度注意を払い、労務リスクの軽減に努めましょう。以下、歩合給を含む給与の残業代計算について取り上げます。
単価計算の原則
残業代計算において典型的な間違いの一つに、「単価計算が間違っていること」があります。
労働基準法では、残業代計算の際に単価計算に「含まなくてもよい給与・手当」を限定しており、それ以外は単価計算に含まなければならないことになっています。
残業単価計算に含めなくてもよいとされている給与は以下の通りです。
・家族手当
・通勤手当
・別居手当
・子女教育手当
・住宅手当※
・臨時に支給する手当
・1ヶ月を超える期間ごとに支給される手当(ボーナスなど)
※住宅の形態ごとに一律で支給する住宅手当は残業計算に含めなければならない。
歩合給の残業代
前述の通り、歩合給は単価計算から除外できる給与に含まれていません。
歩合給の残業代計算については「固定給と分けて二本立てで残業計算する」ルールが定められています。
具体的な計算方法を次の通り例題を示して説明します。
例題
月間の所定労働時間が160時間、所定労働時間を超えた場合の割増率25%のX社に在籍する社員Aのある月の給与
●X社、社員A
基本給20万円
役職手当5万円
歩合5万円
残業込みの総労働時間 180時間
この場合、残業となった180-160=20時間については次の2通りの残業代を払います。
【1.基本給に対する残業手当】
(基本給20万円+役職手当5万円)
÷160時間×1.25×20時間=39,062円
このように、固定給部分の残業単価計算の際には歩合給を含めません。
【2.歩合給に対する残業手当】
歩合5万円÷180時間×0.25×20時間=1,388円
⑵ついては、「5万円の歩合を稼ぐのに180時間をかけたのだから、歩合給の1時間単価は5万円÷180」と言う理屈で単価を出した上で、割り増し部分のみを計算します。
所定労働時間の設定に注意
なお、残業単価計算のもう一つの典型的な間違いとして、「計算に用いる月間労働時間が法定労働時間を超えていること」が挙げられます。
原則として週40時間の法定労働時間を超える勤務時間設定はできないにも関わらず、それを超えた月間労働時間で計算すると、労基法違反となります。所定労働時間設定についても注意しましょう。