感染症拡大防止のために都道府県から休業要請を受けた場合、社員に対する給与補償はどうすれば良いでしょうか。
はじめに
政府が発言した緊急事態宣言に伴い、都道府県知事から営業自粛や休業を要請された業種、あるいは要請は無いものの世情を鑑み休業する企業において、従業員の給与をどのように補償するかが問題になっています。以下、従業員への休業手当の支払い義務について場面ごとに整理します。
休業要請・自粛要請をされたとき
都道府県知事からの要請に従い休業した対象業種について、「会社のせいではないから従業員への休業手当の支払いは必要ない」という説がありますが、必ずしも正しくありません。
休業手当の支払い義務の有無については
①外部からの不可抗力によるものか
②通常の経営者として最大限の注意を尽くしてもなお避けられない事態かどうか
により判断されるべきとされています。
①について、今回の都道府県知事からの休業要請は一般に「外部からの不可抗力」となりますが、休業要請がなくても社内の都合で営業できない事情があった場合(法違反などで元々営業停止を命じられていた場合など)は事情が変わってきます。
②について、「通常の経営者としての最大限の注意」とは、例えばテレワークにより業務に就かせたり、別の業務に配置転換したり、グループ会社に出向させたりといった代替措置を検討することです。休業を命じないで手を尽くす会社の姿勢が求められます。
都道府県の休業要請に応じたからと言って従業員に休業手当を支払わない場合、後になって①②の判断基準を根拠に、従業員から休業手当支払を請求される可能性があります。
労働基準監督署が休業手当支払いの有無を個別の事情ごとに決めてくれるわけではないので、結局は会社が前述の判断基準のもとで支払いを「するか・しないか」を決めるしかないでしょう。
休業要請対象ではないが休業するとき
休業要請はされていないが、通勤時の感染拡大リスクの予防や客数減少などの理由で休業する場合は、会社が自宅待機を命じるわけですから、一般には休業手当の支払い義務があるでしょう。
ただし、休業開始前から体調不良等により休んでいる従業員まで一律に休業手当支払い義務が及ぶわけではありません。
休業手当の支払いはあくまでも「働こうと思ったら働けるのに、会社の命令で仕方なく休んだ従業員」を対象とすべきでしょう。
解雇という選択肢
休業手当で自宅待機させ続ける財務状態にない場合は、早期退職希望を募ったり、場合によっては止むを得ず整理解雇したりという選択肢も検討しなければなりません。日本は諸外国に比べて解雇規制が強いため、このような非常事態でも「解雇を回避する努力」を企業側に求めます。
解雇を回避する努力とは、例えば次のような行為を指します。
⑴役員報酬の引き下げ
⑵配置転換、出向などの異動
⑶人件費以外のコスト削減
⑷金融支援など
安易に解雇すると思わぬ労使トラブルに発展しますので、解雇については慎重にご検討下さい。