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《2001》今、注目すべき「マタハラ裁判」

東京の語学スクールで起きているマタニティーハラスメントを巡る裁判で、被告側の企業の勝利に覆った高裁判決が注目を集めています。内容について解説します。

はじめに

語学スクール運営会社のジャパンビジネスラボ(JBL)社を雇い止めとされた女性労働者が、会社をマタニティーハラスメントとして訴えた裁判の二審判決が、一審の原告勝利判決から大きく覆り会社側の逆転勝訴となりました。マタニティーハラスメントを巡る事件で企業側が勝つことは珍しく、その内容が注目されています。以下内容について解説します。

事件概要

事件の概要は以下のようなものです。

  • 労働者の女性(38歳、以下「女性」という)は、2008年にJBL社に正社員として入社し、2013年に出産。育児休業中に保育園が決まらず、正社員として働けないため、2014年9月から時短の契約社員として復職した。
  • 復職により給与が大幅にダウンした。
  • 正社員としての復職を望む女性は、「保育園の空きが見つかった」ことを理由として2014年10月から正社員復帰を会社に申し出たものの、認められなかった。
  • 女性はユニオンを通じて会社に団体交渉を行った。マタハラ被害者としてマスコミ取材を受けた。また女性は、仕事中執務室での音声録音を行っていた。
  • 会社が情報漏洩を防ぐため禁止した執務室での録音行為を続けるなど問題行為が改善されないことを理由に女性を2015年9月に雇い止めとした。
  • 会社側は女性との雇用関係がないことを明確にするための訴えを起こし、女性も「正社員の地位確認」を求め裁判を起こした。
  • 2018年9月の一審判決で雇い止めは認められず、会社に慰謝料支払命令が出るなど、労働者側勝利となった。

 高裁判決

今回、二審の東京高裁判決では、一審判決を大きく覆す以下の判決となりました。

  • 会社が行った雇い止めが認められた。
  • 女性労働者からの損害賠償請求は棄却された。
  • 逆に女性労働者に対して、会社への名誉毀損があったとして約55万円の支払いを命じた。

重視された証拠

高裁においては、次の証拠が重視されました。

  1. 実は当該女性は、交渉の場で「見つかった」とされた保育園に入園申し込みをしていなかった。また、保育園も複数申し込まず、熱心に預け先を探していなかった。
  2. 仕事中の執務室での録音行為や、マスコミ関係者への取材で発言した内容に問題があった。
  3. 業務時間内に作成した私的メールの内容に悪意が見られた。

実際、マタハラが脚光を浴びている昨今の流れを利用し、マスコミ関係者らに対して客観性を欠く主張をし、会社の信用を貶めていたようです。判決文でも「記者会見を、会社に社会的制裁を与えて自己の金銭的要求を達成するための手段と考えている」と厳しく断じています。

教訓

この事件の行方は今後も注視するとして、この事件にはどんな教訓があるでしょうか。一つには、「会社の基本姿勢が復帰に協力的であるべきであること」が挙げられます。実際この会社の女性社長は自身も子育て中であり、保育園事情にも詳しく、具体的な入園のためのアドバイスを女性労働者にしていたようです。

また、「相手方の不誠実さを示す証拠を残すこと」も挙げられます。復帰したいと言いながら熱心に保育園を探していないことや、仕事そっちのけでマタハラ裁判の活動に勤しんでいることなどが今回労働者側に不利に働いたことから、不誠実な相手の行動に対して毅然と対応するために、メールや面談の記録をきちんと残すことが大事でしょう。

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