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《1909》副業した時の労働時間管理のこれから

副業を容認する企業が増える中、従業員が複数の会社で働く場合には、これまでと異なる労働時間管理が求められることがあります。副業した場合の残業代と併せて解説をします。

はじめに

働き方改革の流れの中で、副業を容認する企業が増えています。しかし副業容認により、2社以上にまたがる労働時間の管理や、残業時間の算定の複雑化といった問題が注目されています。

厚生労働省も、副業・兼業をする人の労働時間について、従業員の健康確保を前提に、残業規制を柔軟に適用する方針を示しました。以下、副業と労働時間管理、残業代の関係について解説をします。

現行法規の問題点①

現行の労働基準法において、複数の職場で働く人の労働時間は通算すると規定されています。そして、通算した労働時間が法定労働時間を超えた場合には、どの企業が割増賃金を支払うかが問題になります。

割増賃金を負担させられるとなるとそれぞれの企業は副業許可に消極的になるかもしれませんし、そもそも関係のない企業どうしが連携して対象労働者の労働時間把握を共同で行うことも現実的でありません。結果として正確な労働時間把握は労働者の自己申告によるものになるでしょう。

現行法規の問題点②

現行制度では、労働安全衛生法において、事業者に対し、定期健康診断やストレスチェック制度、長時間労働者への医師の面接指導等を義務付けられているものの、副業・兼業をしている者に対する特別の健康確保対策はとられていないという問題点があります。

検討の方向性

厚労省の「副業・兼業の場合の労働時間管理の在り方に関する検討会(2019年7月9日開催)」資料によると、次のような方向性が話し合われています。

 

【健康管理について】

企業は、副業・兼業をしている労働者について、自己申告により把握した通算労働時間などを勘案し、健康を確保するための措置を講ずるように配慮しなければならないこととすること。ただし、労働者のプライバシーには配慮すること。

 

【残業の上限規制について】

労働者の自己申告を前提に、通算して管理することが容易となる方法を設けること

(例:副業時間の「上限時間」などを企業ごとに定める、自社と副業・兼業先の労働時間を通算した上限時間を就業規則に盛り込むなど)。

 

【割増賃金について】

①労働者の自己申告を前提に、通算して割増賃金を支払いやすく、かつ時間外労働の抑制効果も期待できる方法を設けること

(例:企業が予見できる副業時間のみ通算して、割増賃金の支払いを義務付けること)。

②または各事業主の下で法定労働時間を超えた場合のみ割増賃金の支払いを義務付けること。

まとめ

これらの内容を見ると、少なくとも企業側に「副業を容認する場合、大体どのくらい副業時間が見込まれるのかを労働者にヒアリングすること」「副業時間と自社の労働時間を通算した上で健康に配慮すること」などの義務または努力義務が課せられる方向性が読み取れます。今後の議論の行方に注目していきましょう。

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