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《1908》#KuToo運動に見るドレスコードのこれから

職場でのヒール、パンプス強制をなくそうという「#KuToo運動」が注目を集めています。労働環境をより良いものにするためのドレスコードについて考察します。

はじめに

葬儀会社に勤める女性が勤務中パンプスの着用を義務付けられたことに対して、女性にだけヒール・パンプスを強制される世の中の風潮を変えようとインターネットを通じて発信し、多くの賛同を集めています。男女の差別のない労働環境について、ドレスコードという観点から考察します。

#KuTooとは

#KuToo(くーとぅー)は「靴(くつ)」・「苦痛(くつう)」とハリウッドでのセクハラ告発「#MeToo(みーとぅー)」を合わせた造語で、葬儀会社に勤める女性がインターネットで発信し、多くの女性からの賛同を得られたことで注目された言葉です。

6月には発起人が賛同者約1万8800人分の署名を厚生労働省に提出し、ハイヒールやパンプスの強制を禁止するように通達することを求めました。

ドレスコードの法的拘束力

ヒール着用指示に法的拘束力があるかについては、身だしなみ(男性のヒゲや長髪)を巡った過去の裁判が参考になります。

タクシー運転手のヒゲが身だしなみの規則に違反するとして、会社が下車命令をしたことを巡った裁判では、「規則が実質的に制限しているのは無精ヒゲであって、格別の不快感等を生まないヒゲはそれに当たらない」とされたことから労働者勝利となりました。

 

郵便局員の伸ばした髭、長髪をマイナス評価し賃金をカットし、上司らが職員に髭を剃るよう執拗に迫った行為が違法か否かを争った裁判が行われました。労働者の服装や髪形等の身だしなみは、もともとは労働者個人が自己の外観をいかに表現するかという労働者の個人的自由に属する事柄であり、髪形やひげに関する服務中の規律は、勤務関係または労働契約の拘束を離れた私生活にも及び得るものであることから、そのような服務規律は、事業遂行上の必要性が認められ、その具体的な制限の内容が、労働者の利益や自由を過度に侵害しない合理的な内容の限度で拘束力を認められるとし、労働者側勝となりました。

ヒール着用をオフィシャルに指示する企業もあれば、なんとなくの慣例に従って同性の先輩が部下に着用を強要していることもあるでしょう。もしくは、男性上司が女性軽視の価値観によって女性にヒールを履くよう求めるステレオタイプな強要もあるかもしれません。

何れにせよ法的な解釈では①就業規則等により規定されているか、②業務を行う上でヒールでなければならない理由はあるか、そして③ヒールを履くことが個人の自由をどの程度侵害するかを元に判断されることになります。ヒゲや頭髪を巡る裁判例から考えると、余程の事情がない限りヒール着用指示が法的に妥当とは見なされないと予想できます。

大事なのは納得度

ヒールに限らず、頭髪、ヒゲ、ピアスなどのアクセサリー、スーツ、ネクタイなどの身だしなみは、時代に合わせて価値観が変化していきます。じきにスーツ着用の価値観も変わってくるかもしれません。#KuToo運動を一つの契機として、社内でドレスコードについて話し合う場を設けてはいかがでしょうか。

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